こんにちは。東京・狛江の谷田部畳店です。
複数のお客様からご注文を頂いておりましたご寺院用の畳製仏具「礼盤」が完成しましたので、
こちらのブログで一つずつご紹介していきます。
繧繝縁(うんげんべり)を使った礼盤
今日は「その1」として、「繧繝縁(うんげんべり)」という種類の縁を使って製作した礼盤をご紹介します。
そも礼盤とは、僧侶がお寺の本堂で読経する際に座るものです。
こちらのお寺では台座があって、その上に礼盤を置かれていますが、
置き方はお寺によって様々です。
実はこの繧繝縁を使った畳製仏具を製作するのは非常に難しく、職人の技術が問われます。
四つ角の縁の模様を合わせる
何が難しいのかというと、特に難しいのが、四つ角で縁の模様を合わせることです。
下の写真をご覧ください。
四つ全ての角の模様が合っています。
この「縁合わせ」と呼ばれる技術を持つのは、
30人畳職人がいて、1人いるかいないかではないでしょうか。
(実際に統計を取ったわけではありませんが...)
実はこの礼盤はオモテ面だけでなく、ウラ面も縁合わせをしていますので、
オモテ、ウラどちらでも使えるようになっています。
縁はオモテもウラも同じ1枚の生地を使っていますので、
縁合わせの難しさが増します。
一般的な縁はポリエステルや綿などで作られていることが多いのですが、
この繧繝縁は「絹」でできておりますので、伸び縮みしやすく、
例えばオモテ面を貼り合わせる時に、伸ばし過ぎると、
ウラ面の縁を合わせる時に合わなくなってしまいます。
この微妙な「さじ加減」が非常に難しいのです。
畳製仏具の製作は一般的な畳工事とは全くの別物
一般的な畳製作は現代では高機能な機械を使って製作されますが、
この畳製仏具は全て手作業となります。
まさに職人の「腕一本」で作られます。
「縁合わせ」も神社やお寺の畳でない限り、
一般的な畳を作る上では必要のない技術です。
といったことを考えますと、
畳製仏具の製作は、一般的な畳工事とは全くの別物と言えるでしょう。
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